2021年8月5日(木)
姫路市立香寺中学校職員研修会
食肉センター・皮革工場・T町とT地区のフィールドワーク
午前8時30分に食肉センターに集合した一行34人は、冷房の良く効いたセリ室で、ビデオによる事前研修を受け、センター内を案内していただきました。食肉センターを初めて見学する人が多かった。新鮮さと驚きで興奮気味だった。その後、硬式野球用ボールの革を製造している工場に移動。原皮から製品(半裁革)になるまでの工場を見て回ったのです。この工場で製造される革は、日本では高校野球の大半、プロ野球の一部で使用されているものです。韓国プロ野球の正式公認球にも使用されている。その後、皮革工場が多数ある町内を見て歩き、お寺の境内に掘られている「太閤井戸」を見ました。そして、皮革元祖「聖」の神様をお祀りしている神社に移動し、本殿の上に掲げられている看板「皮革元祖 〇〇神社」を見た。続いて、自治会の墓地公園に行き、この位置が姫路城の裏鬼門にあたることを知る。町内にできているベトナム人のコミュニティーにもなっている寺院を見た。そしてもう一つのフィールドであるT地区に移動した。そこは地場産業のない地域だが、急傾斜危険地域に神社があったのを移設した話を聞き、実際に見に行った。最後に、案内人二人から、見て回った所について、詳しい説明があり、参加者に理解を求めた。
この研修会には、香寺中学校の職員だけではなく、香呂小学校・中寺小学校・香呂南小学校・船場小学校の職員、そして姫路市教育委員会人権教育課の指導主事までも参加してくれていた。
参加者の感想文
A
本日は研修をありがとうございました。食肉センターでは、食品を扱う立場としての徹底した衛生管理と、命を扱う産業として無駄な部分をなくし、隅々まで活用する工夫を見て、感じ取ることができたと思います。また職員の多くが部落の出身と聞き驚きました。業種についての差別等は、薄れていると思い込みがあったので、現実の状況を知ることができとても有意義な見学となりました。T町、T地区のフィールドワークではその地域の特色を感じることができました。S地区に勤めていたことがあり、T町の街並みや工場の様子を見て、通じる部分を見ることができました。見て、感じる研修ができました。改めてありがとうございました。
B
ある方がおっしゃった、「人権教育とは自分を守るためにあるものだ」という言葉が、今回のフィールドワークを通して、自分の中でストンと入ってきたと感じました。私自身、幼少期から隣保館やコミュニティーセンターにて友人と学習することを、何の自覚もなく行っていました。自分の生活経験の中で部落差別に関する意識が乏しく、教員になって新たに知ること、幼少期の経験が今になってつながることとなりました。もしこのようなフィールドワークに参加していなければ、「寝た子を起こすな」の考え方のまま過ごしてしまっていたかもしれないと思います。自分たちの生活環境を良くするために声を上げること、自分の地域の産業に誇りを持つこと。「自分たちの命、生活を守るため」というような考え方も育めるような教育者になりたいと感じました。
C
学生時代から部落差別について、総合や道徳の時間を使って講話を聞いたり、動画を観たりして学ぶ機会が多くあった。歴史やどんな差別があったのかについて学んでいたが、これらは「昔のことだ」と思っていた。また私自身、昨年まで愛知県で教員をやっていたため、部落差別について学ぶ機会もなかった。本年度からこの地域で教員をさせていただくことになり、また、部落差別に触れることが多くなっているが、今だに「昔のことだ」という印象があった。しかし、今日の研修を受けて、部落差別はまだ存在する。差別がないと思っているのはそれを見ようとしていないだけだと言うことに気づいた。子どもたちに部落差別を教えるためには私自身もっと学ばなければいけないと強く感じた。実際に見て、ふれて、においを感じることでしか学ぶことができないことを今日学ぶことができた。一日研修ありがとうございました。
D
私はたつのに住んでおり、皮革工場や新宮の食肉センターなど学生の頃に見学してきました。今回、新しい食肉センターを見学させていただき、時代は変わったなぁと思いました。システム化された清潔な環境で処理されていたので驚きました。昔と今では変化していることに安心をしました。その反面、T町のフィールドワーク、T地区のフィールドワークで町を歩くと、まだまだ改善しなければならないことが実感できました。差別はダメという事は、ほとんどの人が思っている事だと思いますが、知らず知らずのうちに行っている行動が差別になっているんだと改めて感じ、実際に足を運び、考えることで少しでも自分の考えを改め、生徒たちに還元できたらと思います。暑い中、本当にありがとうございました。
E
正直、同和問題や部落に関する事は中学校で少しふれただけで、ほとんど関わっていませんでした。私も差別なんてあるのだろうかと思う1人でした。今日実際に様々な場所へ行って、自分の目で見ていろんなことを考えました。食肉センターで働く人々はどうやってここで働くことになったのか。T町、T地区で環境が改善されていないのはなぜか。私がこれまで考えてなかった差別の形が見えてきたように感じました。これからどんなことを自分がすべきか、まだはっきりしていませんが、まだわからないことが多くあるのでいろんな視点から見ていきたいなと思います。無知は罪と言うように知らないことが1番はダメだと思えた一日でした。本日はありがとうございました。
F
今日は一日ありがとうございました。長く勤めて(多分きょう参加の誰よりも)、今までにこのようなフィールドワークに参加したことがなかったので、はじめての体験でした。まず食肉センター、最新のハイテク機器を使って、大量の牛が次々と流れ作業で解体されていくのは驚きでした。でも正直、気絶させられた牛が片足つるされてくるところからだったので少し衝撃でした。皆さん大変きつい仕事を手際よくされていたので感心しました。皮革工場は3Kとマイナスのイメージが強かったのですが、プロ野球や高校野球のボールの皮のほとんどを作っていること、それを地区の人たちが誇りに思っておられることを知り、とても新鮮でイメージが変わりました。T町の中は道が狭く、古い壊れた小屋や焼けた家、無人になった家屋が多く、虚しい気持ちになりました。T地区は、家屋は普通の町村と変わりないと思っていたのですが、山のすぐ下のがけ崩れや土砂災害、水害の危険の度合いが高いところに住居や昔の神社が作られていることがわかり、複雑な気持ちになりました。今日一日、今まで知っているつもり(?)で、知らなかった多くのことがわかり、実際にこの目で見ることができて、貴重な体験ができました。もっともっと勉強しなければいけないと思います。ありがとうございました。
G
牛の解体やT町の皮革など、以前より興味のあった内容を実際に見ることができ、とても貴重な体験ができました。また皮革産業に関するT町の方々の、自らの職に対する誇り、プライドも知ることができました。我々の生活を支えている仕事、それを今日体験した内容をもとに生徒に伝えたいと思います。
H
今回、初めて食肉センター、T町のフィールドワークに参加させていただき、実態を掴みやすかったです。T町にある工場が次々と新しくなり機械化されているのではと想像していた通りだったのだと感じました。発展していく部分と後退する部分の混在も気になりました。食肉センターの立派なのにも驚きました。見学することで命をいただいていることを感じずにはおれませんでした。T地区のフィールドワークには22年ぶりでした。記憶が薄れていますが、建物が変わってしまっていたり、手が入らないままになっているところもあるように思いました。その当時の解放学級はその意義をよくわかっている生徒たちだったように思いますが、B先生のお話の中に一度閉めたこともあると聞き、どの地区においても起こりうる課題なのだということがよくわかりました。考える機会を与えていただきありがとうございました。
I
・心に残った言葉として「差別とは主観を超えた客観である」「目で見た体感する実態調査のみで終わると差別の再生産になってしまう」「解放学級に関して、地域、学校、保護者の連携のあり方を見直し、自分の子だけの問題でなく、地域の子どもとして捉え直すことが大事」 ・実際に地域を歩き、自分の目で見聞きする事は、自分の理解を深める意味で有効な手段として今後も活用していきたい。 ・問題解決に向けて、教育の果たす役割は非常に大きい。差別の継承を防ぐには、教育が大事。教育により「気づき」の機会が増え、意識の変革につなげていくことが重要であると考えます。 ・知らないことがたくさんあり、もっと勉強したいと思います。「無知は罪」として知る・勉強する意欲・熱意を持ち続けたいです。
J
今日の研修会、とても楽しみにしていました。貴重な学びの機会を作っていただき本当にありがとうございます。私はこの4月に管外より転入してきました。お恥ずかしながら、前市では、部落差別・人権に関する研修や、そもそも職員室で「人権」というワードが出てくる事はあまりありませんでした。K中学校に着任し、A校長が日ごろから、「なぜ?」「どうする?」と問いかけてくださるので、これまでの勉強不足を埋めるかのように4月から過ごしてきました。今回フィールドワークで直接的な体験を五感を通してさせていただき、感覚的にも知識的にも学びが深まりました。正直身近で差別に感じる事はなかったのですが、こうして、食肉センター、皮革で働かれている方の居住地、ある場所の事、街中を歩き、道路や家屋等の状態を見て、事実が分かりました。これまで見ていない、見ようとしなかったから、見えなかっただけなのだと、無知である自分にも気づけました。そして、教師の役割の大きさ、責務を強く感じました。生徒と関わる教師が、真実を知ること、知ろうとすることが、差別や誤った理解を生まないためにも必要です。生徒に教える、伝える教師の姿勢の重要性を感じましたので、これから学び続けようと思います。本当にありがとうございました。
K
本日はお忙しい中ご指導いただきましてありがとうございました。実際にフィールドワークをして、見て感じて生の声を聞くことがどれだけ大切なのか分かりました。近年オンラインが主流を占めていますが、人の力が感じられた研修でした。ありがとうございました。
L
初めて知ることがたくさんあり、安易にアウティングしてはいけないことを思いました。教師として、生徒に何を伝えているか、よく吟味して、2学期からの授業に活かしていきたいです。普段の生活では足を止めて見学することができないところばかりだったので、本日このような機会をいただいたことに感謝します。ありがとうございました。
M
案内してくださった両先生、本日は本当にありがとうございました。若い先生が増える中、同和問題への取り組みに不安と焦りを感じています。そんな中、自分なりに学校でも「仲間を増やす」を目標にやっています。今日は参加してくれた先生とまた「仲間を増やす」ためにがんばります。
N
本日の人権研修会で、部落問題を見る目が養われたように思う。人権教育に対して、同和教育というものがどういったものか分からずにいた。しかし、フィールドワークに行くことで、被差別部落の様子を見て道や建物の整備が行き届いていないことがよくわかった。今でこの状態なら当時は。皮革産業についても今も部落とのつながりが全国的に強いことがわかった。誇りを持って働いている方が多く、外国の方々でも受け入れられ、たくさんの人たちが救われているように思った。普通に生活しているだけでは見えない部落問題についても考えていくようにしたい。
O
私の住んでいる地域(小中学校)にもベトナム人の同級生が多数おり、中には今回見学に生かしていただいた皮革工場の近くに住んでいる者もいます。フィールドワークを通して、様々な背景がある中で生活をしていても、毎日、明るく前向きに強く生きていたのかと思うと自分自身も教師としてできる事は何かをしっかりと考えていきたい。
P
私は同和問題についてあまり知りませんでした。部落差別が昔からあるというのは知っていましたが、実際にその地区を訪れること、食肉センターや皮革工場を見学させていただくのは初めてだったので、とても貴重な経験をさせていただきました。兵庫県の名品である神戸牛や硬式野球ボールが、この姫路で生まれていることが誇らしく、また働いておられる方々の姿を近くで見せていただくことができて、子どもに教える立場の教師として同和教育をするときには今日の経験を生かして指導ができるようにしたいです。貴重な経験をありがとうございました。
Q
フィールドワークに参加させていただき本当によかった。私の住んでいる地域にも地区があります。今日教えてもらったように山と川に挟まれた地域です。祭りも自分たちだけでしています。昔は解放学級もありました。ただ私の友達は、実家の近くに家を建てて住んでいます。「地区だから!」と言う意識はお互いなく付き合っています。お互いの子どもも同級生で仲良しです。産業があるわけでもないですが、新しい家もたくさん立ち、地区だというのが薄れています。T町、T地区を見させてもらい、危険なところがあり、道が狭く住みにくい場所がまだあり、びっくりした。現場を見ることができたのはすごく勉強になった。これからの教育に必ず生かしていきたいと思う。
R
私は姫路で育ちましたが、今まで同和地区とあまり関わることのない人生を送っていました。今日のフィールドワークを経験して、多くの考えや知識を得ることができました。(そこに差別がある、だから差別されている)という考えよりも、差別を解決するために何ができるのかを考えることが大切。そのために、歴史をよく勉強し、これからの未来を考える。また、差別されている人と一緒に考え、行動することが大切だとわかりました。これからも、姫路の同和問題に対する教員の役割は重要だと考えます。
S
今日は貴重な勉強の機会に参加させていただくことができ、ありがとうございました。見学させていただいたところ、やはり、実際に事実を把握すると言う意味でとても勉強になりました。お二人の講師の先生のお話も素晴らしかったです。どうもありがとうございました。教育の力、教師の力、大切だなと思いました。これからも頑張っていきたいと思います。
T
貴重な体験をさせていただいたと思います。食肉センターでは危険を伴う作業もあるけれど、世界へ輸出する大規模な施設があり、しっかり働く人々の力強さを感じました。そこでは外国人、地区の人々がほとんど働かれているということは少し驚きました。T町の工場では実際、皮を加工して野球ボール革を作っている様子を見せていただきました。日本でもかなりのシェアを占めており、手作業の素晴らしい産業だと思います。誇りを持って地域の方々が描く産業をもり立てておられるのを感じました。T地区では産業では特になくても、その分教育に力を入れておられ、桃花交流館を中心に活動を続けておられることがわかりました。
U
T町とT地区を散策し、被差別の現実に触れることができました。道路の状態や土砂崩れが起きそうな箇所を見ることで、まだまだ解消できていないと言う実態を目にしました。講師の両先生のお話や説明もわかりやすく、貴重な時間を過ごすことができました。今日は勤務校からの参加が3名だけでしたが他の教職員にも広め機会があれば同じように検証くれると良いと思います。
V
今日は一日勉強させていただきありがとうございました。食肉センターでは、身近でありながら中のことをあまり知っていなかったので本当に勉強になりました。ガイドをしてくださった方が「命をいただいている」ということを話しておられました。牛の体全体で無駄にするところがないことも教えてくださいました。そして、その後のT町で行ったフィールドワーク、皮革工場見学は食肉センターからのつながりがよくわかりました。そしてT地区では神社の移設が生活環境の実態(急傾斜地)を表していることもよくわかりました。前に学習したことがある内容とはまた異なり、目で見せてもらうことの大切さを感じました。教育に関わる立場として、そのような真の姿に目を向けないといけないと思います。本校からは3名参加させてもらいましたが、校内研修で伝えていきます。本当にありがとうございました。
W
自分の目で見て、実際に感じることができる機会をいただけたことは、ありがたかった。食肉センターは、日本で1、2を争う施設として開設されていた。食肉産業と部落差別の問題、皮革と部落差別の問題、現実を見て歩いてみて、お話を聞いて考えていけてよかった。「今、自分に何ができるのか」小学校でも子どもたちにこのことで人権教育をすすめています。
X
Sorry. I can only write in English. I come from a country with a lot of different discrimination, such as racial and class based religion. We are often taught that Japan is essentially homogenous and without discrimination.
However I learned a lot through this
fieldwork. For one, I learned about the existence of the Buraku people. I
leaned that Buraku people were considered unclear due to association with
“unclean” professions such as slaughter and tanning. Even though most
non-Buraku people benefitted from their work, utilizing meat and leather, the
Buraku themselves were discriminated against. I leaned the Buraku people are
not a different race and do not speak a different language than other Japanese
people, which is why many demographics in other countries experience
discrimination. In fact, people can unknowingly move into Buraku neighborhoods
and become Buraku. Ever though these communities may produce some of the most
in demand products for example, Kobe-Beef and baseball, they still suffer from
a physically manifested discrimination, while people may claim discrimination
isn’t a problem in Japan, it’s easy to see through unmaintained buildings, roads,
and ways that Buraku are still discriminated against. Now teaches can help
dismantle this discrimination by teaching about the history of it.
“It would be a great pleasure if we could play a role in creating an
equal society.”
As I am a foreigner to Japan, but interested
in learning as much as possible about this place and its culture. I lament how
education about this topic is essentially only in Japanese. Of course, I
understand why I would like to offer to help translate materials into English
in order to help other English-speaking foreigners and immigrants learn about
this. I think that English would help you access even more people interested in
helping to fight against this discrimination.
Thank you for leading us.
(和訳)
すみません。私は英語でしか書くことができません。私は、人種や階級に基づく宗教など、さまざまな差別のある国から来ました。日本は本質的に平等で差別がないということをよく教えられます。 しかし、私はこのフィールドワークを通して多くのことを学びました。一つには、部落民の存在を知りました。食肉や皮なめしなどの職業との関連から、部落の人々は不平等であると考えられていると私は感じました。部落以外の人々のほとんどはその仕事の恩恵を受けて、肉を食べ革を使っていますが、部落自身は差別されていました。私は部落の人々は他の日本人と同じ人種であり、異なる言語を話さないことを知りました。それなのに、その多くの人々は差別を経験しています。実際、人々は無意識のうちに部落地区に引っ越して、部落民になることができます。これらのコミュニティは、神戸牛や野球など、最も需要の高い製品のいくつかを生産していますが、それでも明らかな差別に苦しんでいます。部落が今なお差別されています。建物、道路、道。今教えている人は、その歴史について教えることによって、この差別を解消するために協力することができます。 「私たちが平等な社会を作るために役割を果たすことができれば、それは大きな喜びです」 私は日本へ来た外国人ですが、この場所とその文化についてできるだけ学びたいと思っています。このトピックについての教育が本質的に日本語だけであることに私は嘆きます。もちろん、他の英語を話す外国人や移民がこれについて学ぶのを助けるために、私が資料を英語に翻訳するのを手伝うことを申し出たいと思っています。英語は、この差別と闘うことに関心のある多くの人々に伝えるのに役立つと思います。ご指導していただきありがとうございました。
あとがき
案内人2名を除く32名の参加者のうち、7名が午前中で帰らざるを得ず、感想文は以上の分となりました。最後にアメリカ人ALTの英語による感想文があります。非常に良い感覚で理解されていることに、うれしさとともに感謝の念が湧いています。ただ、あまりにも流暢な英文なので、データ化するのに手間取りました。完成に時間がかかりすぎたこと、一部和訳に意訳している部分があることを申し添えて、お詫びいたします。